RECOMMENDER1
日本の匠を国境を越えて世界へと発信。
Calling BEAMS CRAFTS IN THE MAKING
ディレクター 佐藤 幸子
革を軸に多彩なアイテムを揃えたい。
日本を代表するセレクトショップ<ビームス>が、世界中の人や物、さらには伝統工芸とフュージョン。その化学反応をストーリーとともに添え、オンリーワンなプロダクトを発信するプロジェクト<コーリング ビームス クラフツ イン ザ メイキング>。ディレクターの佐藤氏はひょうごレザーの特色をフルに活かしたクリエーションを披露する。
「最初の打ち合わせでお話いただいた“何でもできる”という言葉に驚いて。『それならウチも革を軸に多彩なアイテムを作ろう』という目標を掲げました」。同ブランドは3社のタンナーから供給されたレザーを使い、バッグやシューズ、ポーチなどの小物類に加え、Tシャツとショーツといったデイリーな洋服もデザイン。
想像力を掻き立てる柔軟な対応力。
<コーリング ビームス クラフツ イン ザ メイキング>で生み出す多彩なコレクションは、シューズなら5色、ポーチなら3サイズとバリエーションも豊か。ウィットに富んだラインナップには、ひょうごレザーの柔軟な対応力があった。
「専門的なお話になりますが、例えばスムースと型押しが同じピッチ幅で作れ、さらに表と裏で異なる仕上げもできるんです。柔軟に対応してくださって結果的に全12型になりましたが、本音を言うとまだまだ作れました」と笑って話す佐藤氏。革があらゆるプロダクトへと姿を変えることで、ひょうごレザーの魅力を惜しみなく表現できたそう。
世界中の人々に知ってもらいたい。
タンナーとの二人三脚で革を作り出すメリットとして、デザイナーが日本の職人に対する素晴らしさを再確認して欲しいと話す佐藤氏。「最近は海外の安価な革もありますが、やはり圧倒的に上質な素材を作ってくれるのがひょうごレザー。タンナーとの仕事を通じて、若いデザイナーに日本の高い技術を知ってもらいたいんです」。2021年12月には<コーリング ビームス クラフツ イン ザ メイキング>のコレクションに加えて、<トーキョー カルチャート by ビームス>のレーベルでひょうごレザーを使ったプロダクトが、一堂に会するエキシビションをビームス ジャパンにて開催。
「このイベントを皮切りに、世界のあらゆる人の目に触れて欲しい」と佐藤氏。ひょうごレザーの未来像を見据える彼女の目はすでに海外に向いている。
Calling BEAMS CRAFTS IN THE MAKING
佐藤 幸子 Director
久留米絣をリラクシンな洋服に用いた<カスリ>、有田焼や伊万里焼などの陶器をアクセサリーに落とし込む<ヒゼンジュエリー>など、これまで地場産業に光を当てる数々のコラボレーションを展開。
RECOMMENDER2
粗野で荒々しい思い描いた革との出会い。
orslow
デザイナー 仲津 一郎
ようやく巡り会えた理想の革。
立ち上げから一貫してMADE IN JAPANのハンドメイドを貫く<オアスロウ>のデザイナー・仲津氏がひょうごレザーの革と出会ったのが2018年。「昔からレザーの洋服を作りたいとは思っていたものの、なかなか思い描いた素材に巡り会えなくて。そんな時に神戸市との取り組みでタンナーをご紹介いただき、自分の理想に出会えたんです」。
仲津氏が探求していたのは、自身が傾倒する’60〜’70年代のレザーウエア。いい意味で粗野な雰囲気が宿り、着るほどにエイジングする風合いのあるもの。あらゆるタンナーを見て回り、そんな荒々しい革にようやく出会えたそう。
愛情を持って向き合うのが基本。
ワイルドな革はブランドの世界観が十分に出せる一方、キズやシミが隣り合わせゆえにリスキーだと言う仲津氏。「製品になるまで一つひとつのパーツを吟味する必要があります。一箇所でも美しい革が入ってしまうと味気ないものに。そのさじ加減が難しいんですよ」。
理想型と傷物との表裏一体。前述の荒々しい革をタンナーが丁寧になめし、仲津氏が素材を細部にまで注視する。手間暇を惜しまない両者の情熱から生み出される<オアスロウ>のレザープロダクトはどれも無二の存在感。目の肥えた洋服好きが買い求め、リリースとともに完売するほどの人気を誇る。
革に秘められたあらゆる可能性。
「ツヤを出したり型押しができたり、さらに後染めで色を加えたり、起毛が施せたりもできますよね」と、仲津氏を感心させたのはひょうごレザーが持つ多様性。変幻自在に色落ちが加工できる<オアスロウ>のデニムと同じように、あらゆる可能性を秘めていると語ってくれた。その優れた生産背景には「町ぐるみでレザー作りに取り組んでいるからでは?」と言う仲津氏。デニムの聖地である児島のように、生産者がひしめき合い、お互いが切磋琢磨するからこそ、日本が世界に誇るレザーの一大産地として認められているのだろう。
orslow
仲津 一郎 Designer
オリジナルと呼ばれる古き良きワーク・ミリタリーの原型を、スローな空気感でデザインすることから<オアスロウ>とネーミング。4台のヴィンテージカーを乗り回す旧車マニア。
RECOMMENDER3
想像を超える唯一無二のオリジナルレザー。
master-piece
ディレクター 古家 幸樹
専門性が細分化されているのに驚き。
今でこそ当たり前となった“デザイン性と機能美の融合”を設立された1994年から掲げ、現在は日本だけでなく世界へと発信するバッグブランドの<マスターピース>。ディレクターを務める古家氏は、ひょうごレザーの魅力を突出した専門性にあると語る。
「馬に牛にとレザーの種類で得意なタンナーが分かれ、さらに厚手の革に定評があるのはここ、ソフトな仕上げに強いのはそこと数々の工場が存在します」。各タンナーが強みを掘り下げるからこその細分化。クライアントのニーズに応えるべく、多種多様なレザーを絶えることなく供給し続けている。
まだ見ぬ革をともに開発してくれる。
その革に対する他に類を見ない知識によって、新たに開発されるレザーが次々と生み出されている生産背景にも惹かれると古家氏。「当社では馬革をメインに使っているのですが、『極限までソフトでありつつも強さを持たせたい』という無茶振りとも取れるようなオーダーをしました」と言いつつ、最終的にはリクエストを上回るような出色の仕上がりに驚かされたとか。
これまでに数々の革を作り上げてきたからこそ、その時代に沿った新しいレザーを次々と創出。ブランド側の想像を超える“まだ見ぬ革”は、特色を持った各タンナーの飽くなき探究心から生まれている。
信頼できる職人の人柄も素晴らしい。
タンナーの底知れぬ知識やスキルもさることながら、現場で働く職人たちの人柄もひょうごレザーを語るうえで外せない。「革の特徴はもちろん、なめし方から染色の方法、さらには最終的な仕上げまで、どの工程も包み隠さずに話してくれます。そんな姿勢だからこそ、我々も信頼してオーダーできるんです」と言う古家さん。何もかもオープンにすることで、ブランドとタンナーの間で生まれる一体感。その中にはタンナーと職人に、他社では真似できない絶対的な自信がある。
master-piece
古家 幸樹 Director
2020秋冬コレクションからディレクターに就任。<master-piece>のステップとしてトータルバッグブランド化を掲げており、より豊かなバッグライフを人々に提供するための様々なプロジェクトを、バッグづくりだけに留まらず提案している。